ウォークマンブログ炎上事件 - EC事件簿(5)
[2006月01年26日]
ネットにおけるトラブルは大小、後を絶ちません。
今年に入ってからも、ライブドアショックや楽天ポイント事件が起きているが、忘れてはいけないのが、「ウォークマンブログ炎上事件」です。
今後、ネットにおけるクチコミマーケティングを仕掛けるところも多いとは思われますが、この事件にはクチコミマーケティングを仕掛ける際に気をつけなくていけないポイントが数多く含まれています。時期的にちょっと遅い話題ではありますが、取り上げてみます。
事件の経緯
昨年11月に携帯音楽プレーヤー「ウォークマンAシリーズ」は発売され、それに合わせて、ひとつのブログが公開されました。
それが「ウォークマン体験日記 ★カワイイ★のがいいの!」。ウォークマンのモニターとして、pinkyさんがウォークマンの体験記をつづるブログでした。
・ウォークマン体験日記
http://www.so-net.ne.jp/blog/walkmandiary/(現在は謝罪文のみ)
ウォークマン体験日記キャッシュ
公開後すぐに、その日記中の不自然な描写を指摘するコメントがブログに溢れます。たとえば、このような記述があります。
「早速音楽をダウンロードする予定が、自分のパソコンがmacだったことに気づき、撃沈。。。windowsのパソコンを買って、やっとダウンロードしてみました」
ウォークマンを使うためにわざわざPC買ったの?Mac持っているなら、iPodでいいんじゃない?というツッコミを受けるのは当然の流れ。この後も、誤解を払拭しようとpinkyさんはコメント欄で弁明を試みますが、墓穴を掘るばかりで逆に炎上の速度を加速させていきます。
最終的には、完全閉鎖で終了しました。
ソニーの対応
現在、このブログには、
「本サイトは終了いたしました。一部の方々に誤解を生じる可能性のある表現があったことをお詫びいたします。サイト終了に際し、皆さまには大変ご迷惑をおかけいたします。」
という謝罪文だけが掲載されています。この件で、ソニーから正式な謝罪はこれしか出ていないはずです。ヤラセでしたごめんなさい、というコメントは正式には出していないはず。(問い合わせをした人には、そのブログがソニーによってコントロールされたものである旨が伝えられているようですが)
ブログは対話型のメディアです。ウソを突き通せないと判断したときに、全てネタばらしをして、謝罪するのがベストではなかったでしょうか。真摯な対応によって、ダメージを軽減した例は数多くあります。その例に入らなかったことが残念です。
クチコミマーケティングを成功させるために
大失敗に終わったウォークマンブログですが、どこがいけなかったのでしょうか?問題点をピックアップすると、
・スタンスを明確にしていない
メーカーからの商品紹介の依頼を受けて書いた記事なのか、普通に購入・利用してその感想を書いているのか、そのスタンスははっきりと明示しておくべきです。アフィリエイト目的なら、URLである程度把握することもできますが、そうではない場合、判断に苦しみます。純粋に紹介したいだけなのか、それとも、なにかしらの営業行為なのか。そのスタンスを明確にしておけばユーザーに勘繰られることも無く、自由度高めでブログを書けるはずです。
たとえば、企業ブログ内で自社商品を褒め称えてもクレームをつける人はまずいないでしょう。なぜならそれが企業ブログだと分かっているから。企業ブログの、広告効果について疑問を感じる人もいるかと思います。クチコミマーケティングとして広がるのかと。しかし企業ブログでも効果を上げているところは数多くあります。ユーザーを装って書くブログに比べれば伝播力は弱いかもしれませんが、バレたときのリスクを考えると、スタンスはあらかじめ明確にしておいた方が得策です。
・誹謗中傷をしてしまった
ウォークマンAブログが一気に炎上したのは、Macに触れたことが大きいです。しかもウォークマンはご存知の通り、Apple社のiPodとライバル関係にあります。macについて好意的な書き方をしてないとなれば、どうなることになるかは火を見るより
明らかでしょう。しかも弁明の過程において、スペルミスをするなど、macユーザーではないのではないかという疑念をも抱かしてしまい、炎上に拍車をかけました。
・ウソをついた
大抵の場合、ウソはバレるということを肝に銘じておきたいところです。そのブログ自体がウソなのですが、ブログの中でも細かいウソを積み重ねています。ブログに掲載した写真中の影で、その写真が素人ではなくプロによるものだと分析されるなど、色んな矛盾が指摘されています。
ブログは不特定多数に向けて発信するメディアです。各方面に精通した人達を全て騙せる自信が無ければ、ウソはつくべきではありません。絶対にバレます。
最後に
「ブログは蓄積型のメディアである」ということは大前提として捉えておいて欲しいところです。サーバーから削除すればハイお終い、では終わりません。各ブログにはその顛末が掲載されますし、キャッシュも残ります。ネットに出た時点でデータはもう取り消すことができないのです。ブログで小細工を画策しているところは、その意識が低いのではないでしょうか。